【演劇観てきた感想】DULL-COLORED POP『岸田國士戦争劇集』

アイキャッチ画像 演劇

フライヤー画像

出典:DULL-COLORED POP https://www.dcpop.org/

おすすめ度:☆☆☆☆✬
公演期間:2022/07/05(火)~2022/07/19(火)
劇場:アトリエ春風舎
脚本:岸田國士
演出:谷賢一
出演:
 紅組:
 阿久津京介、東谷英人、越前屋由隆、齊藤由佳、原田理央、ふじおあつや、松戸デイモン、渡辺菜花
 白組:
 倉橋愛実、荒川大三朗、石川湖太朗、石田迪子、伊藤麗、函波窓、國崎史人、古河耕史

スポンサーリンク

あらすじ

あらすじに代えて構成・演出の谷賢一のメッセージをご紹介

昨年の秋くらいから、また『福島三部作』のときのように長い徹底的な取材をして芝居を書いてみたいという思いがむくむくとわいてきました。自分には書けないようなものを書きたいと思ったときには、長い取材をして自分以外の声や言葉・視点にしっかり浸らないといけません。何かそういう題材はないか?

そこで浮かんできたのが戦時中の岸田國士というテーマでした。当時の資料や文章などを読むと、大政翼賛会文化部長という明らかに「体制側」に属しながら実に複雑な葛藤を抱えていたことが伺えます。

そして自分は昔から、本当に戦争反対を訴えるならむしろ戦争を賛美・賛成する人間の台詞を書かなければならないのではないかと考えていました。なぜ人は戦争を賛美・賛成するのか? 戦争とはどれだけ魅力的なのか? そこを克明に描かなければ「戦争」の恐ろしさは見えてこないのではないか。『動員挿話』で「人を殺さなくて済むのだから戦争に行かないのは偉いこと」と書いた岸田は、その16年後には『かへらじと』で自分の命を捨てて敵を殺し、まさに火の玉のように散る若者の姿を英雄のように描いています。

よし『岸田國士の戦争(仮)』を書こう。そのためにはまず岸田の書いた戦争劇を全て上演してみよう。本気で、いい俳優を集めて、そして非常に厳密に当時の時代背景や状況をリアリズム的に検証して……。

そう思ってこの公演を用意していたら、ウクライナで戦争が始まってしまいました。今ロシアの国民の8割は戦争賛成だそうです。「私は正しい」と思った者が最も大きな過ちを犯すのは今も昔も変わりません。

出演者の大半はオーディションを経てオファーしました。どの作品も戦争に駆り出される若者たちの話ですから20代が多いのですが、惚れ惚れするような才能が集まりました。また30代以上の俳優は実力派のベテランが居並んでいます。演劇とは違う視点から世界を見る行為に他なりません。若い才能たちとたくさんのディスカッションを経て、なぜ当時の私たちが「戦争に行こう」と決心したのか、その視点・視座を解き明かしてみようと思います。ぜひ劇場でご覧下さい。

出典:DULL-COLORED POP https://www.dcpop.org/
スポンサーリンク

作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

組毎に役者の個性の違いが確りあるのがよい、両バージョンを谷賢一が演出しているのだが俳優が違うと付ける演出も違う、俳優と演出家の協働が観客から見える”演技力”というものなのだなと納得

しかし、今作は難しい…別に戯曲が難解なのではなく、真っすぐ受け取ることが出来ない

時代背景なのか、脚本の本来の意図なのか、現代日本に生きる人間としてモヤっとする違和感がある

作品を観るだけでは解決しようがないため、パンフレットを購入した

俳優:☆☆☆☆☆

【白組】

古河耕史

流石に巧い、ただバリバリの日本軍人に観えない…端整で格好良すぎ

そしてウィトゲンシュタインの知的なイメージが離れない

石田迪子

昭和初期の奥様感が凄い

容姿だけでも抜群の説得力だが所作も完璧で団扇で宇治少佐を扇ぐシーンが印象的

神は細部に宿る系の衝撃を受けた

函波窓

凄い個性だった前回観た際とも全然違う意味で

作品ごとにイメージが違う上に確り役柄がハマっているのがよい

倉橋愛実

恐らく初見だと思う(少なくともDULL-COLORED POPのクレジットタイトルを入れて出演してる作品は初めて観た)

いい雰囲気をまとっている、内面の感情が観ている側に伝わる演技が印象的

伊藤麗

鬼気迫る演技で一種の狂気すら感じて観ていて怖くなってくるほどの異質感が出ていた

【紅組】

越前屋由隆

前回観た際には声の印象があまりなかったが今作は声がとてもよかった

東谷英人

この座組では絶対に軍人役だと思っていたがやはり軍人役だった

作品が意図している軍人という意味では誰よりもハマっているのではないかと感じた

渡辺菜花

観た回だけなのかもしれないが噛んでの言い直しが2度ほどあって悪目立ち

ダルカラは練度が高いのでちょっとでも噛むと印象に残ってしまって勿体ない

ちょっと綺麗過ぎないか?というぐらい綺麗で逆に昭和感がないのが数代の異質な感じにハマっていた

スポンサーリンク

まとめ

作品を通じて自分が感じている違和感・異質感の正体を言語化することがとても難しい

谷賢一がどうしてこの作品を選んだのか?岸田國士は何を描こうとしていたのか?それをどう解釈しているのか?パンフレットを買わずにはいられない作品(そしてパンフが異様に厚い【熱い】)

フライヤー画像

出典:DULL-COLORED POP https://www.dcpop.org/

コメント

タイトルとURLをコピーしました