【演劇観てきた感想】露と枕『帰忘』

4.0
アイキャッチ画像 演劇

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出典:露と枕 https://tsuyu-makura.amebaownd.com/

おすすめ度:☆☆☆☆★
劇場:「劇」小劇場
公演期間:2022/06/01(水)~2022/06/05(日)
脚本・演出:井上瑠菜
出演:小林桃香、奥泉、川上献心、越前屋由隆、福井しゅんや、土屋康平、大塚遊馬、久保瑠衣香

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あらすじ

ある春のこと。名前のない山の中腹で、交通事故が起きた。
五人の女性が亡くなった。結婚を控えた婚約者がいたということ以外に、彼女らに共通点はない。
そして、彼女らが何故同じ車に乗っていたのか、どこを目指して走っていたのか、知る者はいなかった。
意識不明で救出された、運転手の女を除いて。

一年が経ち、五人の婚約者は事故現場に集まる。季節外れの金木犀が咲いていた。
五人は懐古することもなくくだらない会話に花を咲かせていたが、快復した運転手がやってきたことで、事態は一変する。
彼女は事故までの数年間を忘れていた。そして、彼女たちが何故死んだのか、知りたいと言った。

季節は春になった。金木犀は思い出したように咲き、散り始めている。

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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

初見の劇団となるのだが、そのコンセプト通り”優しい悲劇”を観た

物語は、あらすじにある通り、事故後1年経った命日に事故現場に集まった5人の婚約者のところに事故の際に車を運転していた橙山(小林桃香)とその婚約者である沈沢(奥泉)が現れるところから始まる

橙山は、事故の3年ほど前からの記憶を失っており、沈沢と付き合っていたことも覚えていない

桂(川上献心)は、職場の後輩マミが実は両親から搾取され奴隷のような扱いを受けていたことを知らず、

柊(越前屋由隆)は、妊娠を機に結婚を決めたキホが実は妊娠しておらず、どうして自分に嘘をついていたのか知らず、

七里(福井しゅんや)は、美容整形の費用をねだっていたユウのコンプレックスの本当の理由を知らず、

丹羽(土屋康平)は、貯金のためといって接触のたびにお金を払うルールを作っていたチヅルの過去を知らず、

金森(大塚遊馬)は、事故の日どうして自分に嘘をついてまでサユリが仲間とドライブに出かけたのかを知らない

1年前の事故の真相は誰も分からない状態のなか、4年前の精神状態に戻ってしまっている橙山が5人の婚約者たちをなじり始める「お前らは何もわかっていない、私たちはずっと死にたがっていた」と…

集団自殺なのか事故なのか、5人の過去が紐解かれていく、婚約者たちは自分が知らなかった事実に愕然としつつも、自分たちと積み重ねた時間の意味を見つめなおしていく、それでも彼女は(自分たちは)幸せだったと思いたい、それは単なるエゴなのか葛藤が葛藤のままそれぞれが帰途につく、それは橙山も同じ、この4年間で自分たちは変わっていたのか?

事実がどちらに転んでも失ったものは戻ってこない残酷な二者択一

そこにある”想い”だけを観客に残して終わる”優しい悲劇”だった

舞台美術もよく、序盤軽妙な会話があったりして軽い展開なのだが、気づくと重苦しい状況に、観客に確実に自分を省みさせてしまう筆致と好演出

俳優:☆☆☆☆★

小林桃香

記憶を失い、一人だけ過去に取り残されている橙山を好演

物凄く感じ悪く歪んでいる(褒めている)演出が確り出ていて観ていて感情を動かされた

奥泉

前回観たときは素顔ではなかったので始めて顔を観たが、なるほど色気がある。あんよ。に呼ばれる理由が分かった

今作では過去を取り戻せても取り戻せなくてもツラい沈沢を好演

川上献心

誠実で優しいが故の葛藤、逃げないで向き合う意思の強さ、ラスト観客をガチっと掴んで離さなかった

展開を回しラストを締める安定感は抜群、流石外さない俳優

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まとめ

思い切ってこういった作品を創れる井上瑠菜という才能は今後も楽しみな存在

俳優陣もよくこれなら配信でも充分に楽しめそう

露と枕『帰忘』チケット予約ページ 露と枕『帰忘』配信チケット

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