出典:ムシラセ http://mushirase.net/
おすすめ度:☆☆☆☆☆
公演期間:2022/11/30(水)~2022/12/04(日)
劇場:シアター風姿花伝
脚本・演出:保坂萌
出演:工藤さや、小口ふみか、辻響平、輝蕗、元水颯香、中野亜美、土本燈子、加藤彩、菊池美里、つかてつお、渡辺実希、松尾太稀、土橋銘菓、柴奏花
あらすじ
最近、うちの学校に「おばけ」がでるらしい。
古いカメラをぶらさげて、ふわふわ歩いているって噂だ。
そんなオカルト現象、撮っても話題にもならないし興味がない。
部員も顧問もやる気がないし、写真部は廃部寸前。
このままじゃ私の写真家への夢がどうにもならないよ。つまんないことを気にしている場合じゃないのにさっきから、もじゃもじゃ頭の人が話しかけてくる。
その人は、カメラをぶら下げていて、座ってるはずなのに床から2センチくらい浮いている。
この目にはハッキリみえているはずなのに、写真にはうつらない。
ちょっとまってよ、あんただれ?なんでそこにいるかわかってないおばけと、写真部の女子高生と、職員室の先生たちの、みえるとみえないと、いつかみた夢のお話。
出典:ムシラセ http://mushirase.net/
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆☆☆
今年観た中では一番の作品(2022年12月11日現在)だった。観たのは、土橋銘菓出演回。
完成度の高い構成で、色々なパーツが終盤に向かって組みあがっていく巧さがあり、バランスよく笑いが入りつつラスト泣かせる、という好みの展開と、俳優陣の個々の個性がガッチリ組み合っていて、一人の漏れもなく魅力的だった。
物語は、ある女子高の写真部の部室を中心に展開される。メインのストーリは、突然部室に現れた幽霊のもじゃ(工藤さや)をだた一人視認出来る小林未莉(輝蕗)を中心に、写真部の面々のそれぞれの葛藤とそれを取り巻く大人たちの過去と今の思いを上手く配置し、ラストに向かって徐々に紐解かれる過去の出来事が綺麗に伏線回収される。
少女漫画の学園モノのようでいながらも、女子高生にフォーカスがあたり過ぎにならないように設計されており、写真家でもある作・演の保坂萌の想いが随所に感じられる表現もあり、音響も美術も照明もキャストも演出と全てがバッチリ噛み合っている。兎に角、バランスがよく、違和感を感じさせない、何もかもを納得させられる感覚が持てるのがよかった。
しかも、公演前の悲しい出来事すらも素晴らしい演出で組み込まれており、そこに確かに”彼”がいると感じられて本当に終盤は泣けた。
俳優:☆☆☆☆☆
中野亜美
写真部のストーリーの中ではメインじゃないのだが、リアルに秀才タイプに見える容姿と内に秘めた気持ちの強さとそれ故の葛藤が非常によく表されていて印象に残っている。
渡辺実希
こちらも教師陣の中ではメインではないが、物語全体を通じての笑いの部分を上手く担っており、個性的なキャラクター造形も相まって良かった。
辻響平
今年は本当によく客演している彼を観る。どの作品でも非常に重要な脇を固めるバイプレーヤーとしての巧さを感じる。今作でもその良さを如何なく発揮している。
菊池美里
完全当て書きとしか思えないほどにハマっていた。怪優の怪演。キャスティングの妙。
土橋銘菓
ダブルキャストでの完全に飛び道具であったが、最後に”しゅん”となるシーンは、無茶苦茶笑わせてもらった。リアル地下アイドル感。
まとめ
現時点で今年一番の作品。脇に回っている俳優が素晴らしく完成度が高い。
今日(12月11日)から動画配信があるそうで年末にもう一回観ちゃうかも
出典:ムシラセ http://mushirase.net/
コメント