【演劇観てきた感想】露と枕『わたつうみ』

4.0
アイキャッチ画像 演劇

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出典:露と枕 https://tsuyu-makura.amebaownd.com/

おすすめ度:☆☆☆☆★
公演期間:2023/04/12(水)~2023/04/16(日)
劇場:「劇」小劇場
脚本・演出:井上瑠菜
出演 :小林桃香、村上愛梨、榊原あみ、大塚遊馬、越前屋由隆、野村亮太、谷澤翼、松本知道、幡美優、齊藤由佳、丸本陽子、横手慎太郎

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あらすじ

―海や死にする 死ぬれこそ
とある海沿いの療養施設に、七人の若者が入所してきた。

彼らは山奥の村で、「神さま」として生活を送っていたらしい。
老樹や巨岩と打ち解け合い、鳥獣や風の声を聞き、村人の懺悔を許すことが生業であった。
村人はというと、神に許されることだけが至上命題であったから、
困窮していく自給自足の生活の中で私刑を与え合い、
時に罰された者の血肉を糧食の足しにしながら、
いつまでも若い彼らに許しを乞うていたという。

七人を社会復帰させ、その尊厳を取り戻すため、
施設に与えられた期間は一年ほどしかない。
何も変わらないのではとの懸念もあったが、
彼らは初日から聞き分けが良く、常に笑顔だった。
警戒心の強い者もいたものの、
概ねはゆっくりと平穏な暮らしに慣れていった。

このまま何事もなく、一年が過ぎていくかもしれないとさえ思っていた。
海に行きたがった一人に噛まれるまでは。

これは、食人村で誕生した七柱の神を人間に堕とす、許しと弔いの記録。
あるいは、海と過ごした明暮のこと。

出典:露と枕 https://tsuyu-makura.amebaownd.com/
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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

神格化された宗教二世が普通の人間になっていく1年間を描くという設定が斜め上な作品。タイトルである『わたつうみ』は、日本の古語で”海”を表していて7人が暮らしていた”郷”の対極の存在なのだろうという部分は読み取れた。ただ、ただでさえ共感が感じられない領域に井上瑠奈の詩的な表現が重なりちょっと分かりずらいな、と思わされる部分もあり。(セリフ自体は好きではあったけど)

どうしても露と枕は”優しい悲劇”を標榜しているだけあって”重たさ”が出てしまう。同じような設定ながら、やみ・あがりシアターの『すずめのなみだだん!』の方が、分かりやすくて個人的には好みと感じる。奇しくも劇団員の小林桃香がこちらの作品にも出演しているというのは面白い。劇中もずっと”バンリ”(万理かな?)と”だだん”の違いを気にしながら観てて楽しかった。

俳優:☆☆☆☆★

榊原あみ

この人でなければ七三ではない。というキャスティングだったと思う。終盤の感情を爆発させて心情を吐露するシーンは良かった。素材で既に魅力的な部分に非常にいい演出が加わっていた。

横手慎太郎

飄々としていて、優しいんだけど策士だったりして、とらえどころのないお兄さんやらせたらこの人の右に出る人はいない気がする。

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まとめ

ちょっと重めで難しいけどラストシーンに救われる作品

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