【演劇観てきた感想】蒸気倶楽部『第一回蒸気展覧会』

アイキャッチ画像 演劇

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出典:蒸気倶楽部 https://vaperclub.jp/

おすすめ度:☆☆☆☆✬
公演期間:2024/11/02(土)~2024/11/04(月)
劇場:PaperbackStudio
脚本・演出:屋代秀樹
出演:こばやしかのん、田中渚、勃起崎鋼太

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あらすじ

科学の進歩が約束してくれたはずの“明るい未来”を
いつの間にか通り越してしまった私たちの前途は
けむりに巻かれたように茫洋としてはなはだうんざりですが
それでもあとに引けない私たちはそのけむりすら推進力として
与えられたわずかな余暇をぼうにふるために
連休にコントをする集まりである蒸気倶楽部の設立をここに宣言します

蒸気倶楽部書記長
屋代秀樹

【演目】
『パビリオン建設』
『キッチンにて』 
『交番にて』
『キッチンにて』
『※これは実話です』
『キッチンにて』
『パビリオン解体』

出典:蒸気倶楽部 https://vaperclub.jp/
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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

『パビリオン建設』

日本のラジオでお馴染みの不思議な近未来モノ。この作品は、こばやしかのん演じるパビリオンの案内をするコンパニオンが秀逸過ぎる。台詞をテキストで読んだら引くほどシニカルな内容だと思うのだが、こばやしかのんの演技で中和した結果、よりカオスな雰囲気になっている。『蛇ヲ産ム』で感じた言語化しづらい不思議な魅力が、そのまま作品に投影されている。屋代秀樹の明らかにフィクションなのに何故かリアル、な世界観にジャストマッチしている感じだった。

『キッチンにて』 

公演中に全てのエンディングをコンプリートしたようでテキストが公開されている。この演目は事前に発表されているように3回繰り返される。出演されてる3人の俳優が順番に演じるのだが、構成は昔懐かしのゲームブックの”それ”である。物語の分岐は、最前列に座っている観客に選んでもらうようになっているのだが、分岐を選んでもらった際の演者の”承知しました顔”が、何ともいえない表情で印象的。

『交番にて』

こちらも日本のラジオでお馴染みの『浴室にて(改)』とか『画廊にて』に通じる近未来デストピア設定。凄く久々に田中渚を観た気がするのだが、どうやらお休みをされていたらしい。外連味しかない設定をまるで外連味なく演じているのが流石である。

『※これは実話です』

ザックリまとめると鶴の恩返しと猿蟹合戦を屋代アレンジで再構成した作品。勃起崎鋼太演じる”臼”(この設定の時点で凄い)の告白によって徐々に物語の構成が見えてくる展開が凄惨なのに笑えてしまう。

『パビリオン解体』

オープニングの設定を引き継いでの迷子センターの話。その他、微妙に各種設定を引きついでいるような雰囲気の中、迷子って何なのだろうと思いながらお話が収斂していく。ここでも、こばやしかのんの怪演が炸裂。3人の俳優の違いがハッキリと感じられるのも良かった。

俳優:☆☆☆☆☆

勃起崎鋼太

なんか凄く”ちゃんとしている”のが、世界観とのギャップを生んでいて面白かった。普通っぽいと悪目立ちするという不思議な世界。

田中渚

端々に違和感を感じるのだが、主張してこないのでスルーせざるを得ない。気になって仕方がない隠し味的な存在感で、料理でいうところの”コク”を作品に与えていた。

こばやしかのん

作品群の中心を担うインパクト絶大な演技だった。作品の世界観の枠ギリギリにピッタリとハマる演技が出来る俳優なのだと思う。『蛇ヲ産ム』での印象を思い出して妙に納得してしまった。

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まとめ

次はどの3連休でコントをしてくれるのだろうか。期待して待つ。そして何故だろう、小劇場シーンで99年~00年生まれのゾーンに巧い俳優が数多く台頭してきている気がする。

コメント

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