出典：Cuebicle『Transcendent Express』 https://www.transcendentex.com/
おすすめ度：☆☆☆★★
劇場：上野ストアハウス
公演期間：2021/12/10 (金) ～ 2021/12/19 (日)
演出：フジタタイセイ
脚本：Alison Grace
出演：鍛治本大樹、佐野功、小寺悠介、江益凛、すずきぺこ、藤本悠希、ハマカワフミエ
あらすじ
上野発札幌行き臨時”婚活”寝台特急「ニューあけぼの号」
発車いたします──
強烈な頭痛を抑えるため鎮痛剤を乱用する立花千作は、副作用により時折現れる幻覚に心惑わされていた。夢か現実か幻覚なのか判別もつかぬまま、列車のベッドで昔別れた女の影を見る。
良い女を得るために『共同戦線』を持ちかける中條廉太郎とともに、婚活列車のプログラムに合わせて女性と面会を重ねる千作。
手頃とも思える女、小さな妥協で結べる絆、これまでにない知見をもたらす愉しい女性。様々な候補者との会話を繰り返しながら千作は、自らの結婚できない、結婚しない理由と向き合っていく。ともすればこのまま平凡な結婚を選んだかもしれない。秋田から乗り込む新たな候補者が、昔の女と瓜二つでさえなければ。消えたはずの恋慕に焦がれ、中條の安い挑発、押し寄せる幻覚。加えて婚活主催者の暗躍、何より女たちの目論見までもが千作の前で交差する。 <結婚>に囚われた男を追う、サイコサスペンス&ロードムービーロマンス劇
出典：Cuebicle『Transcendent Express』 https://www.transcendentex.com/
演劇、特に小劇場の場合、あらすじと本編が全然違うことがあるが、本作は乖離なし。このあらすじのイメージを持って劇場に行って大丈夫
作品の感想
あくまでも個人の感想。ネタバレありのため閲覧注意
脚本：☆☆★★★
何もかも唐突で物語の世界観に入っていけない。あらすじからもサスペンス調で謎が提示されラストに向かって回収されていくのであろう構成だと分かるが、そもそも婚活？寝台列車？頭痛の原因って？と納得度が低い中で、時代設定や舞台設定も上手く受け取れず実存をイメージできない。
更に一連の謎がラストに回収しきれたように思えない。口にすべき言葉って今のでよいの？その言葉を口に出来なかったことが全ての因果を含んでるの？これで終わって良いの？という感じで終わる。列車モノには秀逸なサスペンスが大量に存在し、結構感覚に根付いているので、そもそもベンチマークが高く問題が顕在化しやすい。あまりハマらなかった。
演出：☆☆☆★★
場面転換が独特で同じ場所に対してセット入れ替えて角度変わったりするのは面白かったがやや回数過剰、場転のたびに流れが止まってもっさりとなってストーリー展開を重くしている感覚。演者が舞台装置を持ち歩いて組み替える場転はいろんな作品で採用されるけど個人的には好みじゃない
今作は、ほぼほぼ列車の客室内という、ある意味ワンシチュエーションなのであんなに頻繁に場転する必要あるのか？と感じる。更に衣装が時代設定をあやふやにしていて、序盤の現代or近未来っぽい感じの説明に対して情景に昭和感あり。音響・照明については特に印象に残っているものなし。
俳優：☆☆☆☆★
印象に残っているキャストのみ
鍛冶本大樹
感情の起伏の激しさが分かりやすく、セリフも聞き取りやすい。主人公の痛みが充分に伝わってくる熱演。ファンの方はこれだけで大満足だろうという出来映え
佐野功
鍛冶本演じる立花との対比をうまく出していたが、後々立花の別人格であるという設定が微塵も感じられないのがやや気になる。但し、これは演出の意図だろうと想像されので俳優本人の問題ではない
ハマカワフミエ
クールな顔立ちでどこか寂しげな雰囲気をまとったところが非常に作品にマッチしていた。脚本によるところが大きいが、途中から”昔の女”なのか”牛流あやめ”なのか全然わからない。彼女自身の問題ではないのだが、全演者の中で群を抜いて身長が低く見える。実際にはほかの女性陣とは５㎝程度の差だと思うのだが絵的にバランスが悪く見えた。
江益凛
声の透りが凄くよくて驚き。声優もやっている鍛冶本大樹よりセリフが聞き取りやすい。左利き特有のメモを取るときのペンの走らせ方がチャーミング（これは演技じゃないだろいうけど）。佐野功との左利き同士のメモのやり取りは、個人的に刺さるものがある。
まとめ
久々の観劇としては及第点の作品で楽しめた。テキストが期待よりも合わなかったのが残念だけど、出演俳優のファンであれば充分に楽しめる。特に鍛冶本大樹ファンと江益凛ファンは必見。初めての小劇場観劇だとちょっと合わないかも
出典：Cuebicle『Transcendent Express』公式サイト https://www.transcendentex.com/
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