【演劇観てきた感想】singing dog『Drunk-ドランク-』

4.0
アイキャッチ画像 演劇

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出典:singing dog https://www.singing-dog.com/

おすすめ度:☆☆☆☆★
公演期間:2022/06/30(木)~2022/07/04(月)
劇場:サンモールスタジオ
脚本:藤﨑麻里
演出:吉田康一
出演:浅倉洋介、井内勇希、岡田篤弥、坂井宏充、楢原拓、前田綾香、山下智代、山城秀之、吉田雅人

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あらすじ

酔うというのは、至福の世界へと誘ってくれることだ。
アルコールがじわりと身体に浸透していき、脳内を麻痺させる。
俺って人間は、なんて素晴らしい!
世界は幸せに満ちていて、今ならきっと何だってできる!
もっとだ、もっと酒をくれ。
おいほら、つまんない顔してないで、一緒に飲もうぜ。
ふらついてなんかいないし、人様にだって迷惑かけちゃいない。
断っておくが、好きで飲んでるわけじゃない。
身体が勝手に求めて、止めるときっと死んでしまう。
だから今夜も明日も飲む。
決して好きで、飲んでるわけじゃないんだ。
───夜な夜なバーに集うアル中たちの、愚かで笑える物語。

出典:singing dog https://www.singing-dog.com/
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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

もともとこの感覚を味わうために観に行ったのだが、

“いやーな気分になった”w

嫌酒期に突入してから観た小松台東『シャンドレ』でもかなりキツい思いをしたが

覚悟の上で観た今作もだいぶツラい

まだソーバーキュリアス生活は続いていて、かれこれ一か月半経過したが、自分自身のアルコールに対する恐怖の源泉を観た気がする

物語は、アルコール依存症の疑い(確信?)がある客でも寛容に受け入れるBAR”Perfect_Day”を営んでいるマスターの大崎(楢原拓)とこのBARに集うアルコールに奔走されている人間の日常を描きつつ、そこに訪れる悲劇とその結末を描いている

  • 大崎は、実はアルコール依存症であったが立ち直って10年断酒を続けている
  • 上野(浅倉洋介)は、表面的には、アルコール依存症である自分を受け入れ、断酒なんて出来ないと開き直っているが、本当は酒をやめたいと思っていて入退院を繰り返している
  • 馬場(井内勇希)は、アルコールが原因で定職にづけずにいるが物語の途中で更生を誓い断酒を宣言
  • 目黒(岡田篤弥)は、外資系に勤めるサラリーマンで、自分はアルコール依存症ではないと敢えて頑なに否定しているが、ほかの人間からすると明らかにアルコール依存症を患っている
  • 神田(坂井宏允)は、認知症を患う母の介護のストレスからアルコールに溺れ、更生をしたいと思ってはいるものの、自分を支えてくれるような人間が周りにおらず、孤独に苛まれており、結局アルコールに逃げている
  • 大塚(山城秀之)は、アルコールで体を壊して医者や妻麻衣(前田綾香)に幾度となくアルコールをやめるように言われて、何度か断酒にも取り組んでいるが、その都度”スリップ”してしまい、散々逡巡した挙句、結局”Perfect_Day”のドアをくぐってしまう
  • 田端(吉田雅人)は、彼女の美紀(山下智代)にいつか酒をやめると約束しているが、いつまでたってもやめることが出来ない

ある日いつものように酩酊して店で朝を迎えた神田の状態を心配した大崎が更生を勧め、一緒に病院に行こうと声をかけるのだが、神田はその場を立ち去り、そのまま不慮の事故で命を落としてしまう

そして、神田を救えなかった自分を責める大崎は、神田の葬儀を終えた後に自ら酒をあおりスリップしてしまう…残された店は、スリップ後自ら入院を選んだ大崎から託された馬場が引き継ぎ、大崎の帰りを待つことに…

という、展開的には読めてしまうものなのだが、個々のエピソードの描写が重い

それぞれ振り切って描かれているが、多量飲酒(1日平均60g以上の飲酒)が習慣化している人間には多かれ少なかれ思い当たる部分がある

なお、所謂お酒が飲めるタイプ(60g=ビールロング缶3本分と聞いて”たった?”と思う人)で毎日飲んでる場合、普通に多量飲酒が習慣化しており自分もこれに当てはまる立派な依存症予備軍(アルコール使用障害が出ている)で、このままいったら引き返せなくなるのでは?という恐怖が半端ない

第1回公演『ブラックアウト』の方がエグい内容だったのに今作のが個人的には刺さる

おかげで暫くはソーバーキュリアス生活が続きそう(続けたいので観た)

俳優:☆☆☆☆★

皆さん達者であったが、ここは敢えてお二人をチョイス

楢原拓

なんか格好いいマスター大崎を好演、ラスト歌がべらぼうに上手くて感動すら覚えた

きっと「今日は飲まなかった」と一日の終わりに呟ける”Perfect_Day”を繰り返すために、店に戻ってきてくれるんだな、と救われた気がする

浅倉洋介

無茶苦茶振り切っているようで一番葛藤があってツラそうな上野を怪演

登場場面がヤバすぎてゾンビ映画観てるかと思った

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まとめ

作品としても面白いが、啓蒙としてより素晴らしい

なんとなく”お酒が怖い”と思っている人には是非おすすめしたい

心が動かされる作品はツラくても観る価値がある

フライヤー画像

出典:singing dog https://www.singing-dog.com/

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