出典:おもち食べ放題 https://tokyomboys.wixsite.com/my-site
おすすめ度:☆☆☆☆☆
期間:2023/08/03(木)~2023/08/06(日)
劇場:イズモギャラリー
脚本・演出:久保磨介
出演:梅田優作、土橋銘菓、沈ゆうこ
あらすじ
第一話『針と糸とアイスクリーム』
いつものように副業であるバーから帰宅した羊。
しかし、とあることを忘れてしまっていたことに気付き、
姉の小鳥にそれを押し付けようと策を弄し始めるが……。第二話『アンチ・ブラッシング』
婚活中の桃木と、彼氏が三人いる羊という恋愛経験値が真逆の二人。
彼氏のことでなにか悩んでいる様子の羊を、
桃木がなんとか励まそうと奮闘するが……。第三話『キャンディとタブー』
小鳥がタトゥースタジオを開業して間もない頃。
まだ実家暮らしの桃木は開業祝いに家を訪ねることに。
小鳥は家賃が高くて困っているようで…。第四話『青』
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休日。リビングに集まってくると、
小鳥がレターセットを持って唸っている。
終始様子のおかしい小鳥から事情を聞き出そうとする二人だが……。
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆☆☆
久保磨介は、物凄く衝撃を受けて価値観が変わってしまうような作品を書くようなタイプではなく、兎に角シンプルに沁みる納得度の高い優しくて楽しいテキストを書く印象で、今作もそのテイストがストレートに出ている。
とはいっても、今作は人物と場面の設定がかなりトリッキーで、タトゥーアーティストの姉とプロのひもの妹、何故かその姉妹と同居している姉の大学時代の友人で男性の歯科衛生士、っていうどういう思考プロセスを経ると出てくるんだこの設定は、という代物でこれが非常に巧く物語に作用していて楽しめる展開を生んでいっていた。
この設定故に本来演劇が本質的に持つフィクションであるが故の”作為”がより鼻につくようなことになってもおかしくないのに、何故だか全く作為が感じられない(ように観えるように演出されている)。非常にナチュラルで納得度が高い所作をするのだが、劇場から出て振り返ると絶対そんな奴はいない、身近には当然として、友人の友人の知り合いぐらいの範疇でも見たことも聞いたこともないような人物造形で”あれ”に実存感を持たせてるのが本当に凄い。
作品に隙間が多数あり「これ何話でも行けるんじゃないか?」と思わせる構成。二次創作誘発させたいというプロデューサーの願いもバッチリと組み込んでいるのも楽しい。
俳優:☆☆☆☆☆
久保磨介作品には、何のかんのでご縁があって偶然にも、埋もれ木『リンゴのために甘い』を観ている。観に行った理由は、その前年に『ナイゲン(2016年版)』で気になった土橋銘菓(当時は本名)が出ていたから。で、そもそも『ナイゲン(2016年版)』を観に行ったのは『ナイゲン(2013年版)』が強烈に衝撃的で、その後の『ナイゲン』は他団体でも時間が許す限り観ていたから。そして、言わずもがなでオリジナルの『ナイゲン』は沈ゆうこが出ている。その沈ゆうこが出ているという理由で観に行ったやまだのむら『興』で梅田優作を初めて観ている。という、そりゃ沈ゆうこプロデュースなんだから繋がっていて当たり前だろうという感じだが、観ている側にもご縁があり過ぎるキャスティングであった。
沈ゆうこ
というわけで、初めて観てから10年も経っていることに書いていて衝撃を受けたが、本当に演出できる範疇を超えた抜群のタイミングでセリフを吐く巧さが際立つ俳優。『青』での可愛いさが非常に印象的。
土橋銘菓
こんなに格好良い土橋銘菓を観るのは初めてかもしれない。飛び道具的な役柄に実存感を持たせる演技が印象的だが、今作も”プロのひも”で彼氏が3人いるように観える。
梅田優作
作品ごとに全然印象が違う俳優で今作の怪演ぶりも素晴らしい出来映え。3人の中では一番存在していそうな属性の桃木だが、性格的には3人の中で一番実存しない内面的人物造形を持っている。ある意味一番不自然な存在に説得力を持たせてた。
まとめ
凄く良いものを観た。”次”があると信じている。
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