【演劇観てきた感想】露と枕『橘に鶯』

3.0
アイキャッチ画像 演劇

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出典:露と枕 https://tsuyu-makura.amebaownd.com/

おすすめ度:☆☆☆★★
公演期間:2024/11/13(水)~2024/11/17(日)
劇場:王子小劇場
脚本・演出:井上瑠菜
出演:小林桃香、村上愛梨、前田隆成、成瀬志帆、喜田裕也、山口快士、曽根大雅、島田雅之、大塚由祈子、大沼百合子

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あらすじ

その娘、三百年もの月日を、若く美しいまま生きてきた―

老舗の化粧品店「田路屋」の白粉には、不思議な力があるという。いわく、その白粉を塗ればたちまち歳を忘れたように若返り、女の栄華を極めた頃のまま、生き続けられるのだ、と。

そんな作り話の果てに生まれた「おくしさま」という不老長寿の存在を、この家の娘は代々、演じ続けている。人々を信じさせるために娘たちは毎日日記を綴り、先代の、そのまた先代の記憶も引き継いで、三百年の時が流れた。

時代の変容と共に意義も変わり、今では孤独な老人の思い出話を聞くことが主な仕事になっている。現当主は、十万日もの記憶を暗唱し、急に訪ねてくる何者にも、嫌な顔一つしない。先日祖母が亡くなったというのに、殊勝に人々に尽くすばかりだ。

……祖母は、老いていく恐怖に耐えかねて人々を傷つけ、挙句先代の母を死に追いやった。

訪ねてきた、祖母の友人と名乗る婦人が言う。

「あんた、あのババアにそっくりだね」

老いてしまった伝統と、これからも老いていく、私たちの物語。

出典:露と枕 https://tsuyu-makura.amebaownd.com/
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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆★★

1年半ぶりの露と枕であったが、今まで以上に分かり難いというのが率直な感想。「おくしさま」の設定が今一つ腹落ちしない(とても300年続いている伝統とは思えない”軽さ”がある)中で、サスペンス的に先代の事故死の真相を先々代の悪行と共に紐解いていくのであるが、登場人物たちの行動に納得感が得られない。何故そこまでするのか、何故守ろうとするのか、がほぼ理解できないままストーリーがクロージングされてしまったように感じた。

『帰忘』での軽妙なセリフのやりとりが展開される導入からの各人が持っている”わだかまり”が表現されていくギャップや『わたつうみ』での詩的で情感たっぷりなセリフ回しなどがハイブリッドされている印象は持ったのだが、それぞれがちょっと薄まっているような感覚。そんな中で”優しい悲劇”が展開されるのが重すぎる印象。

俳優:☆☆☆★★

島田雅之

座組全体で一番リアルな存在で、唯一と言ってよい程に実存感があった。感情に共感できるとしたら彼の演じる花見川ぐらいしかいなかったような気がする。

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まとめ

久々の露と枕はちょっと物足りない感じがした。次回作に期待。

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