【演劇観てきた感想】アマヤドリ『代わりの男のその代わり』

4.5
アイキャッチ画像 演劇

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出典:アマヤドリ http://amayadori.co.jp/

おすすめ度:☆☆☆☆✬
公演期間:2023/09/28(木)~2023/10/06(金)
劇場:スタジオ空洞
脚本・脚本:広田淳一
出演:【青盤】ワタナベケイスケ、相葉りこ、堤和悠樹【赤盤】倉田大輔、小角まや、宮川飛鳥

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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

拝見したのは「青盤」。

被害者と加害者の物語。ストーリーの展開に合わせて少しずつ新たな真実が明らかになっていく構成力に加えて半端なくセリフも鋭い。被害も加害も清濁併せ呑みながら、展開されていく濃密な会話劇85分。

物語は、DV被害者である森島リイナ(相葉りこ)とその弟森島ダイゴ(堤和悠樹)が、DV加害者でありリイナの元夫の故人北野晋也の7回忌に出席した後、今後について晋也の弟である朋樹(ワタナベケイスケ)と話し合う場面から始まる。朋樹は、亡き晋也からの遺言で晋也とリイナとの間に生まれた息子蓮の養育費についての相談があるという。逆に既に新たな伴侶を得て娘も生まれているリイナも晋也をDVの件で散々に晋也を責めた弟のダイゴがハラスメントとの加害者となり会社をクビになりそうで弁護士である朋樹に相談をしたいと思っていた…被害者であるリイナ、被害者家族であり自らは加害者となってしまったダイゴ、加害者家族である朋樹それぞれの立場から語られる晋也のDVとその後がワンシチュエーション会話劇で綺麗にまとまっている。

ただ、あまりにも綺麗にまとまっている。清濁が綺麗に混ざり過ぎていて、本来が混沌であるはずの事象が整理され切ってしまっているような違和感がある。何か賢しらに「ほら、こうやって割り切れないものなんだよ、世の中はさ」って諭されてしまっている感覚。あまりにもフラットに中立に事象を扱っているような感覚が自分の心情から拭えない。こんな感覚を覚えるあたりが、どうにも自分も大概にはひねくれているな、とは思う。

俳優:☆☆☆☆☆

ワタナベケイスケ

この作品は、ダブルキャストなのに彼にあて書きしているのではないのかと思うぐらいセリフが馴染んでいた。細かい所作とかやちょっとした仕草や表情まで納得が非常に高い。と同時に、これは倉田大輔だったら、一体どう演じているのだろう?って、考えしまうほどだった。

相葉りこ

もともと備えている優しく温かい雰囲気が、小さい子供が2人いるお母さんと言われても非常に受け入れやすい。姉(相葉るか)と違って、影や艶みたいなものよりも、溌溂としていて日なたに居る感じがとてもよく似合う。DV被害者だけど、もう被害者のままじゃない、という感じがとても良かった。なお、リイナは同じセリフでも小角まやは全然違うように観えるのだろうな、と確信した。

堤和悠樹

アマヤドリは俳優の練度が異常に高くて皆普通に巧いし良い演技をするのだが、ここまで濃密な会話劇だと、ちょっと先輩二人との差が出る部分があるのは否めないかな、というのは少し感じた。ほんのちょっと、わずかな差なんだけど、虚構の中にいる感じがした。敢えての演出かも知れないが、本当にハラスメントをしたのか、本当にマイノリティなのか、という違和感。

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まとめ

これ「赤盤」も絶対面白い。普段ダブルキャストは両方観ないのだが気になる。が、もう平日しかないから行けない。配信とかDVDは脳内再生の補助ツールだからツラい。

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出典:アマヤドリ http://amayadori.co.jp/

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