出典:劇団チョコレートケーキ http://www.geki-choco.com/
おすすめ度:☆☆☆✬★
公演期間:2023/06/29(木)~2023/07/16(日)
劇場:シアタートラム
脚本:古川健
演出:日澤雄介
出演:浅井伸治、岡本篤、足立英、伊藤白馬、清水緑、青木柳葉魚、林竜三、緒方晋、橋本マナミ
あらすじ
1990年、バブル景気に沸く日本。
特撮ヒーローものを制作する会社の企画室。20代30代の若手クリエイター中心に番組の脚本会議が行われている。
少年時代、特撮巨大ヒーローのシリーズに熱中した経験のある彼らは、自分たちの仕事が所詮は過去の名作の焼き直しに過ぎないことに忸怩たるもの感じながらも、半ば先行の名作の後追いになるのは仕方ないとあきらめている。
そこには、本来は大人向けの番組を作りたいという屈折した思いもある。そんな覇気のない会議の中で、一人の脚本家があるシリーズで放送された異色エピソードを話題にする…
出典:劇団チョコレートケーキ http://www.geki-choco.com/
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆☆★
物語は、ウルトラマンも仮面ライダーもテレビでの放映がなかった特撮暗黒期ともいわれる90年代前半のものづくり風景を描いている。劇中、円谷プロのウルトラマンは丸川プロのユーバーマンとして表現されているがまんまそのまま。
下敷きになっているのは、帰ってきたウルトラマンの『怪獣使いと少年』。劇中ではワンダーマンを創っている東特プロがオマージュとしての当該作品を扱う中での様々な差別や葛藤を扱っているのだが、話の内容的には『怪獣使いと少年』の制作で語られているエピソード(TBSが猛烈に反発して、監督と脚本家を干す)などがそのまま踏襲されている。歴史ものの名手としての劇チョコらしい”本歌取り”である。
『帰還不能点』と同じようにユーバーマンの物語が劇中劇として頻繁に挿入されており、全体の物語を動かしていく構成で、脚本の古川健さんは、この手法にハマっているのかも知れない。
演出では、真ん中に展開されているジオラマと必要以上に巨大な書割を活用して影を投影することで巨大化を表現したり、情感ある鉄橋を映し出したりが巧くて感動する。また、劇場全体をセピアに染めて展開したシーンも印象的で照明が凄く良かった。
個人的には、差別そのものを取り扱うものではなく、演劇とテレビという違う制作物ではあるものの、そこに携わる人間の矜持みたいなものが確りと伝わってくる作品だと感じた。
俳優:☆☆☆★★
岡本篤
彼の独特な存在感が劇チョコでは欠かせない。今作でも一番重要な役どころを好演。ラストのカミングアウトには驚かされた。
浅井伸治
なんで彼がワンダーマンなのだろうかと思いながら観ていたのだが、これは”敢えて”の違和感なのだろうと最後は納得をした。終始、オードリーの春日のような違和感をまとっていたのが印象的。
橋本マナミ
観終わった今も謎なのだが、何故劇チョコはこの役に彼女をキャスティングしたのかが良く分からない。当パンでキャスティングで個別にエージェントの名前を挙げているのも、なんなの?と勘繰ってしまう。別に演技は悪くはない(良くもないが)。が、他のキャストがほぼほぼ劇チョコの過去作でゆかりのある人ばかりの中で謎過ぎる。
まとめ
個人的には、劇チョコにはもっとダイナミックな世界を扱ってほしいのと、西尾友樹がタカハ劇団に出てて残念。西尾版井川(或いは、浅井版井川、西尾版佐藤)をちょっと想像してしまった。
出典:劇団チョコレートケーキ http://www.geki-choco.com/
コメント