出典:feblabo 公式サイト http://feblabo.net/
おすすめ度:☆☆☆✬★(3.5/5)
劇場:シアターミラクル
公演期間:2022/01/20 (木) ~ 2022/01/26 (水)
演出:池田智哉
脚本:アリソン・グレイス
出演:阿部遊劇手、新井裕士、神野剛志、久保田伶奈、佐神寿歩、坂本七秋、坪和あさ美、長門佳歩、ニュームラマツ、陽向さとこ
あらすじ
『2XXX年。テクノロジーは進歩し、光と電子の走行が社会の全てを形成するようになっても、 人と人の理解と距離は今とそう変わらない程度の未来』
出典:feblabo 公式サイト http://feblabo.net/
AI技術によるシンギュラリティをむかえた世界、
人間と相違ないアンドロイドは急速に普及し社会に浸透していた。
そんな中、世界で初めてアンドロイドによる少女殺害事件が発生。
当局は持ち主ではなくアンドロイド本人を逮捕、送検する。
これを受けて世界中で勃発する[反ロボット]と[親アンドロイド]のデモ、弾圧、暴動。
判決がそのまま社会を二分しかねないこの事態に司法、検察は及び腰の様子見人事で1審を乗り越えることを決定。経験浅い女性検事、日和見主義の事なかれ判事、うだつの上がらない国選弁護人による裁判が始まる。人はアンドロイドを裁けるか、機械に与える刑罰とはなにか、人間とアンドロイドの境界線とは。
多様性尊重に気付いた現代に突きつける、ロボットSF法廷劇。
作品の感想
あくまでも個人の感想。ネタバレありのため閲覧注意
脚本・演出:☆☆☆★★
ロボット工学三原則
前提として僕自身が所謂アジモフ信者でロボット工学三原則の何たるかに異様にこだわりがある。そのため、ウイルスによってロボットが殺人が可能となるというスジが首肯しがたい。
そうじゃないんだよね”ロボットによる殺人”っていうのは、と、どうしてもなってしまう。
これがこの作品に入っていけない最大の要因になってしまって、全体として楽しめなかった。申し訳ないが”倫理観”でロボット工学三原則を飛び越えて欲しくないという、あくまでも個人的な我儘。
対立軸
物語の軸である検事(キリシマ)と弁護士(フルカワ)の対立軸の構成が上手くいっていない。
特に検事の主張に一貫性を感じられない。検事は”アンドロイドを人として裁く”を序盤に宣言しているのであるが、どう観ていても人として扱っていないという印象を受ける。ただ単純に”被告を有罪にしたい”になっている。”人として”の要素が全く感じられない。ずっと観ていて違和感がつきまとう。そして求刑がメモリ消去6年分で違和感がMAXに。
他方、弁護士は被告の利益を最大化する(そのためにロボットは”人ではない”と主張)という立場が一貫してはいる状態で、法廷での主張は人ではないなのだが、一貫して被告を人として扱っている。このズレがバランスが悪い。対立が不鮮明になっていてロジックの切れが悪い印象。
本来ここの対立を上手く仕向けて行くのが裁判官の立ち位置だと思うがここも軽い。司法修習生同期だからと言って下の名前で法廷の場で弁護士に声かけるとか、あり得るのだろうか?サラリーマンが商談の場で大学同期の取引先を下の名前で呼ぶぐらい気持ち悪いのだが。。。
俳優:☆☆☆☆★
坂本七秋
同じくfeblaboプロデュースの会議モノ『十二人の怒れる男』でも印象的な演技されてて今作でも達者な印象。
阿部遊劇手
もともと強めなキャラクターを生かしての好演。もっとロボット愛でぶっ飛んでいても良かったぐらい。
ニュームラマツ
よい演出がついていて要所要所でいい存在感を出していた。裁判官と座るタイミング合わせているとか。細かいアクトが良かった。
久保田怜奈
アナウンサー独特の喋り(滑舌よく鼻濁音強め)が上手くて感心した。
まとめ
ロボット工学三原則ってなに?という人は特に引っかかりもなく、会議モノが好きであればそれなりに楽しめると思う。
出典:feblabo 公式サイト http://feblabo.net/
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