出典:やみ・あがりシアター http://yamiagaritheater.jp/
おすすめ度:☆☆☆☆★
公演期間:2024/09/21(土)~2024/09/23(月)
劇場:PaperbackStudio
脚本・演出:笠浦静花
出演:加藤睦望、木下祐子
あらすじ
1628年9月、若き宮廷画家ベラスケスのいるマドリードの王宮に、巨匠ルーベンスがやってきた。
この物語は、史実に基づいたフィクションです。
画家にして外交官であるルーベンスは、マドリードに約8か月滞在する中で、ベラスケスと親交をもちました。ルーベンスが立ち去ったあと、ベラスケスは国王の許可を得てイタリア旅行へ発ちます。
このイタリア行きは、ルーベンスが強く勧めたとか、もともとルーベンスと二人でいこうとしていたとか、そんな感じのことが言われていて、そんなあたりのことを想像しつつ二人芝居に組み立てたのが本作品です。
出典:やみ・あがりシアター http://yamiagaritheater.jp/
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆☆★
実験公演と銘打っているだけあって非常にチャレンジングな演出であった。基本的には、俳優二人による会話劇ではあるのだが、観客参加型の作品になっており観客にセリフを読ませるシーンがある。なんと開演直後から15回もである。客席には「絵からの景色」という台本が当パンと一緒においてあり、全体で2つ、個別(一人)で13個のセリフがあって、個別のセリフを立候補して読んだ観客には、出演料として100円のキャッシュバックがあるというモノ。
この仕組みが非常に良く出来ていて、客席全体で一人でも参加してくれる人がいれば、全部一人で13回セリフを読むことも可能で(1300円割引)、こういう観客参加型に関わりたくない自分のような観客は徹底してスルーしても”逃げ切り”可能であるというところ。(笠浦さんが前説で”逃げ切り”可能ですからと笑顔で言っていた)強制的に割り振られたらどうしようと震えあがっていた(とてもではないが作品が楽しめない)ところ、結構積極的に手が挙がってさっとセリフの割り振りが終わった。また、自ら手を挙げるだけあって、皆さん発声が達者で作品の雰囲気を壊すようなこともなく、参加していないこちらも安心して作品が楽しめた。
作品本編は、タイトルそのままベラスケスとルーベンス二人による会話劇で、俳優と演出が凄く楽しんで作品を創っていったんだろうなというのが伝わってくる出来映えであった。
俳優:☆☆☆☆★
木下祐子
ルーベンス役。最初はスペイン語が話せないため妙なカタコトで喋っているのが次第に流暢になっていく変化が巧み。ルーベンスがベラスケスを導いたように加藤睦望を導いていくような雰囲気も印象的。
加藤睦望
ベラスケス役。本当にこの俳優は作品ごとに全く印象が違うのが凄い。一体”素”の加藤睦望という人はどんな人なのだろうか?と毎回感じる。ただ、今まで拝見した作品に比べて凄く演技が楽しそう。演出の関係(観客がセリフを読む)で、客席の反応が分かるからなのだろうか。
まとめ
観客参加型って凄く苦手なのでドキドキしたが、システムそのものから笠浦静花の”優しさ”が伝わってきて安心して楽しめた。
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