出典:MCR http://www.mc-r.com/
おすすめ度:☆☆☆☆✬
公演期間:2024/05/23(木)~2024/05/26(日)
劇場:ザ・スズナリ
脚本・演出:櫻井智也
出演:櫻井智也、堀靖明、三澤さき、大石ともこ、わたなべあきこ、加茂井彩音、徳橋みのり、若月海里
あらすじ
櫻井と堀、いい歳をした二人の男がひたすらに、ただひたすらに。
恋がしたい、今更ながら恋がしたい、恋に体重を傾けられなくなってきたからこそ、今更ながら恋をしなければならない、しなければならないんだ、しなくてもいいけれど、しなくてもいい事だからしなくてはならないんだ、今更そこまでしたくはないけれど、今だから恋をしなければならない、しなければならないということはないかもしれないけれど、しなければならないような気がする、それより早く横になりたい、だめだ立ち上がれ、恋をしよう、さあ恋をするんだ、奮い立て、奮い立たなきゃ恋ができない、だって膝も腰も痛いんだもん、それでもやっぱり血を燃やせ、俺たちは恋をするんだ。櫻井と堀のおじさん二人がゆるやかに光る宝石たちを相手に、忘却の彼方においてきた恋愛を引っ張り出しては振り回してひたすらに疲弊するお話です。
出典:MCR http://www.mc-r.com/
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆☆★
MCRの『前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)』からたった3週間ほどで櫻井智也個人名義のドリルチョコレートがスズナリで公演を打つというのだから、一体なんでこんなスケジュールで?と思いつつ劇場に入って納得である。どう考えても急に決まった感じがする。偶然どこかの劇団が公演を飛ばしてしまったのか、急遽スズナリのスケジュールに空きが出て、何だかんだで”勢い”でやることになった感が満載。何せ素舞台。スズナリの完全な素舞台は初めて観た気がする。出ハケも劇場の扉そのまま使っているのだが、舞台そのものを作っていないので、扉が床面よりちょっと高いところにあるとい珍しい光景が広がる。
やっつけ感満載な舞台なのではあるが、作品は面白い。物語はいきなりキャッチボールしながらの世間話から始まる。中身は、櫻井と堀の”恋バナ”である。無茶苦茶なシチュエーションながら、”おじさん”の会話が切実な感じが面白く、恋に恋する”おじさん”二人がお互いの女性の友人を紹介しながら恋愛の可能性を探っていく様子は、まるでロードムービーさながらの情緒を感じさせる不思議な劇空間を形成している。導入で笑わせながら、徐々に重苦しい話に移っていく流れは、完全にいつものMCRの”それ”で、誰が聞いても悲惨だと思うような話をベースに愛と恋を語る櫻井智也のロックを観た気がする。
俳優:☆☆☆☆☆
櫻井智也
最近のMCRでは出番がかなり少なく、彼の演技を久々に観れたのが先ず嬉しい。自身が書いたセリフだからなのか、非常にナチュラルに訳の分からないセリフを吐いていたりするのが凄く好きである。堀靖明との息の合ったセリフの掛け合いと、息の合わないキャッチボールのギャップも笑える。
堀靖明
ずっとオープニングのキャチボールのノリで話しているだけでも充分に面白いのだが、加茂井彩音とのくだりが最高に笑えた。鋭いツッコミをしつつも、実は……という感じで急に追い詰められたりする状況の変化に戸惑う様子が異様に良く似合う。
まとめ
なんだか申し訳ない気持ちになるが『前髪』よりこっちの方が好き
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