【演劇観てきた感想】あるいはエナメルの目をもつ乙女『こどもの一生』

4.0
アイキャッチ画像 演劇

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出典:あるいはエナメルの目をもつ乙女 https://enamel.amebaownd.com/

おすすめ度:☆☆☆☆★
公演期間:2024/05/15(水)~2024/05/19(日)
劇場:王子小劇場
脚本:中島らも
演出:青沼リョウスケ
出演:中村猿人、高木健、石澤希代子、鈴木麻美、奥泉、川上献心、助川紗和子、ムトコウヨウ

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あらすじ

製薬会社社長とその秘書は、瀬戸内海のとある孤島にある医学クリニックを訪れる。そこで行われている精神療法を受ける患者たちはストレスを取り除くため10歳の「こども」に返り、共同生活をすることになるが…

エナメルプロデュース第2幕は石澤希代子選りすぐりの名優達と鬼才・青沼リョウスケを演出に迎え、幾度も再演され愛された傑作ホラー戯曲に挑む。

小劇場界に蘇る懐かしきスリル!ショック!あなたは「大人」でいられますか?

出典:あるいはエナメルの目をもつ乙女 https://enamel.amebaownd.com/
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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆★★

中島らもの名作ホラーである。が、個人的にはテキストがあまり刺さらなかった。どうしても滲み出てくる”古さ”がある。古典作品に通じる違和感をこの世代の作品に対しても感じてしまうのだということに率直に驚きを感じた。”笑い”の部分の言葉の運び方(青沼演出でその辺りを改変しているようには感じなかった)と、インターネット特にスマートフォンが全く普及していない世界という、令和6年の観客との世界線の決定的な違いを感じる。

ただ、天井が高く照明と音響を確り使える王子小劇場を上手く使った演出は、エンターテイメントとしての作品の完成度が高い。オープニングとエンディングの爆音と演者のダンスとか、高いレベルの俳優陣の力を上手く統合しての作品づくりが凄く上手くいっている。小劇場の規模感(劇場設備や予算なども含めて)で出来る限界レベルに近いと思わせるほどに演出が確りしていて、それを支える俳優と裏方さんの凄さを感じた。

俳優:☆☆☆☆☆

高木健

暴君ながらも茶目っ気たっぷりで”子供”全開の三友社長を見事に演じて、物語の核心部分を確りと担っている。観客に嫌悪を感じさせるほどに嫌な感じを出しているのは流石。

川上献心

物語をかき回す高木健の三友社長とは対極にずっと”大人”として立ち回る院長先生。所謂”裏回し”のような立場で物語を展開させていく巧さ。いつもながらだが、座組みへの目立たないが非常に高い貢献度が印象的。

ムトウコウヨウ

少女Bの凄まじい出オチ、からの、山田のおじさんである。強烈なキャラを全面に押し出しての演技は、演出の青沼リョウスケの身内(同劇団)であるところからくる絶対的な信頼感の証であろう。本当に強烈の一言である。

石澤希代子

演者としてもそうだが、プロデューサーとして素晴らしい座組みを組んだことが一番。実力派の俳優陣を取り揃え、演出の青沼リョウスケをはじめとしたスタッフ陣も素晴らしく、作品の完成度をあそこまで高めたのは”素晴らしい”の一言である。

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まとめ

小劇場としては異例のクオリティの高さ。が、これで採算面は大丈夫なのだろうかと心配になる。小劇場としては”ちょっとだけ”しかチケット代が高くないところが逆に不安になる。

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