出典:ムシラセ http://mushirase.net/
おすすめ度:☆☆☆☆★
公演期間:2023/09/06(水)~2023/09/10(日)
劇場:劇場MOMO
脚本・演出:保坂萌
出演:藤尾勘太郎、鍛治本大樹、有薗芳記、小島あやめ、岡野一平、谷口継夏、瀬戸ゆりか、つかてつお
あらすじ
先輩はアーティストだ。止まっている絵の一枚が、もう動いている。
先輩は天才だから、もうすぐ監督になる。そう、アニメの監督に。
僕は先輩とは違うけど、努力の才能はあると思っている。
そうじゃなきゃ、テレビの前で自分が描いたアニメをみるなんてことできるわけないんだから。
もうすぐ僕がはじめて描いた、先輩が書いた原画をつなぐほんの一瞬の作画が映り込む。
何度も確認したから絶対にわかる。
絶対にわかる。
わかる。
わかる
ああ僕の描いたところ、勝手に誰かが描き直してる。
出典:ムシラセ http://mushirase.net/
たぶん、いやきっと、先輩が。
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆☆★
前回観た”つやファン”と同様にこれって演劇だったとしたら、と考えてしまう”『集団創作とハラスメントとクオリティの行先』をテーマにした作品”(出典:当日パンフレットより)なのだが、これは社会特に営利団体である会社の縮図でもある。ハラスメントの描写もあり、つらくて重い作品。
そこに正解はない。それぞれの正義がぶつかっている状態だと思う。今の時代、チームリーダーっていうのは不遇だと感じる。自らは、上の世代から”やりがい搾取”を受けボロボロになりながらも、好きだから、自分がやらないと、などという正義感みたいなもので現場を支えてきたのに、いざ自分がリーダーとなり同じ手法でリーディングするとパワハラと処断される。上は逃げ切り、下は社会に守られている。自分たちだけが理不尽に苛まれ、守られない。だからやっていい、というわけでは勿論ないし、実世界では劇中の表現などとは比較にならない完全に犯罪レベルのハラスメントも存在する。でも、どういうリーディングが適切なのだろうか?その”答え”はこれから自分自身の手で見つけなければならない。全てのツケを受けもって、罪と罰を背負う世代なのだと重苦しい気持ちになる。
とても考えさせられる良作なのだが、ラストに納得感がない。そういう世界線が存在するとは到底思えなかった。創る側も難しいテーマだと感じた。
俳優:☆☆☆☆★
藤尾勘太郎
久々に拝見したのだが独特の存在感は健在で神崎玄というキャラクターにハマっていた。ご自身もデザインをやられているだけに、平面での創作に関するオーラみたいなものを勝手に感じ取ってしまった気分である。
鍛冶本大樹
チャラいプロデューサー役が結構ハマっていて面白かった。閉鎖的な業界の中で外との接点が常にあるため、一番常識的で染まっていない感じが随所に感じられるが、ハラスメントを放置している時点で業界人であり、罪を負っている世代。最後神崎玄を切っているが、渡辺Pは残っているのが業界の闇。
まとめ
ムシラセ観て初めて泣かなかったが心痛は一番ひどい。
出典:ムシラセ http://mushirase.net/
コメント