【演劇観てきた感想】ムシラセ『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』

4.5
アイキャッチ画像 演劇

フライヤー画像

出典:ムシラセ http://mushirase.net/

おすすめ度:☆☆☆☆✬
公演期間:2023/07/13(木)~2023/07/18(火)
劇場:駅前劇場
脚本・演出:保坂萌
出演:佐藤新太、辻響平、菊池美里、インコさん、瀬戸ゆりか、有薗芳記、永田紗茅、潮みか、中野亜美、元水颯香、川上献心、土橋銘菓

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あらすじ

『つやつやのやつ』
同期が死んだ。
周りの中で⼀番最初にテレビに出て、⼀番最初に賞を取って、⼀番最初に売れた芸⼈だった。
仲は良かった筈なのに、なんだか涙は出ない。
正直、今俺はそれどころではない。
隣にいる⾃分の相⽅がポンコツを超えてそもそもお笑いに向いていない。
俺が売れない原因は多分、いや 100%コイツのせいだと思う。 今⽇こそ解散を切り出したいのに、邪魔ばかり⼊る。
師匠も後輩も元カノも、いいから黙れ。
頼むから、ちゃんと悲しませてくれよ。
通夜の夜、何かになりたいけどまだなれない、芸⼈たちのお話。

『ファンファンファンファーレ!』
推しが死んだ。
駆け出しから売れるまでを⾒守った、お笑いという世界を教えてくれた芸⼈だった。
⼤好きだったから、涙しか出ない…
はずなのに、今のあたしはそれどころではない。
隣にいる友達が、空気を読めていない。
あんたの推しは死んでないとはいえ、振る舞いというものがあるだろう。
いまいち深刻になりきらない原因は多分、この⼦のせいだと思う。
今⽇こそちゃんと吹っ切れたいのに邪魔ばっかり⼊る。
いじわるな劇場スタッフも、芸⼈志望の変な⼥⼦⾼⽣も、いいから黙って。
お願いだから、ちゃんと悲しませてよ。
⼀周忌の楽屋裏、夢と現実をみる、出待ちの⼥の⼦たちのお話。

出典:ムシラセ http://mushirase.net/
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作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

物語は二本立て構成で『つやつやのやつ』から1年後が『ファンファンファンファーレ!』となっている。どちらかというと『つやつや』の方がコミカルな要素がある挫折のお話で『ファンファン』の方は、泣ける要素が多い希望のお話なのかなと受け取っている。構成としては『瞬きと閃光』の終盤の華麗な伏線回収の方が好みではある。

『つやつや』は、売れない芸人である阿久井(佐藤新太)が売れない原因を作っているのがほぼ自分であるのに気づいていないところと、そんなダメな相方を信じている津田(辻響平)とのやり取りにモヤモヤするのと、いろいろと絡んでくる先輩芸人たちのやり取りが笑えるのだが話の芯の部分が相当に重厚で、辞めないのにはそれなりの訳があると感じさせられるのが結構ツラい。

『ファンファン』は、ある意味希望に満ちているというか、”お笑い”を”演劇”に置き換えるだけで泣けてしまうほどにストレートでシンプルに分かりやすい。志乃(元水颯香)のど直球のセリフにエンターテイメントへの想いと希望を感じてしまう。

そして”お笑い”を”仕事”に置き換えたって本当は成立してしまうんだよな、と思って無茶苦茶泣けた。最近仕事がらみで”病んでるな”という疑惑がある種の確信に変わった瞬間であった。

俳優:☆☆☆☆☆

中野亜美

保坂作品ではいつもこのタイプの役を当て書きされるのだろうか?というほどに優等生キャラが似合う。劇中ガッツリもらい泣きしてしまうほどに納得度の高い演技と演出だった。全然違うタイプの役どころを観たいと思わせてくれるほどのはまり役。

辻響平

それでも相方を信じている津田を好演。本当はこちらの方が社会不適合でヤバい人なんだろうなというのが『ファンファン』の方でもチラチラと感じられるのがある意味怖かった。

川上献心

安定感と安心感が引き続き抜群である。『ファンファン』でのストーリー展開のペースを変える起点になってたり、笑いを呼び起こしたりして、一番観客に近い目線で観客が感じているであろうことをセリフとして吐くという難しさがある。全体的に個々のキャラが結構振り切っていてツクリモノ感がある本作品をリアルに引き寄せる絶妙な役どころだった。

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まとめ

ムシラセは間違いない、と確信できた。9月の『眩く眩む』が楽しみだ。
そしてフライヤーの集合写真が超いい。

フライヤー画像

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