出典:avenir’e https://avenire.cloud/
おすすめ度:☆☆☆✬★
期間:2023/08/11(金)~2023/08/29(火)
劇場:PaperbackStudio
出演:家入健都、髙橋龍児、谷川大吾、東澤有香
Scriptteam:休日の図書館
作:須賀真之
ドラマトゥルク:大原研二
ディレクター:池内風、平井寛人
メインディレクター:須賀真之
制作:大原みづほ
あらすじ
人工知能に関する演劇の上演と対話
「わたしはあの人を愛している。あの人はAIを愛している」実際のチャットAIと人間の会話を引用しながら、すぐそこにある未来を描く、SF会話劇
出典:avenir’e https://avenire.cloud/
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今作はAI(人工知能)に対する人間の心の葛藤を描く会話劇です。AIについての議論は「AIは人類を助ける味方になる」と主張するAI肯定派と「AIは人類を脅かす敵になる」と主張するAI否定派に二極化しています。その対立の渦中で、私たちを含め多くの人は慎重な面持ちで情勢を見守っているのではないでしょうか。もしかしたら、多くの声が未だ発されず、胸のうちに秘められているかもしれません。
演劇を作る私たちはここに、ドラマが生まれる余地があると感じました。
「もし自分の愛する人がAIを愛するようになったら、どうすればよいか?」「演劇を作るとき、AIは良き友人になり得るか?」「人間という種は、この“知能にみえる何か”とどのように付き合っていくべきなのか?」
このような問いを稽古段階から観客にひらき、過渡期の今だからこそ生まれる様々な声を、丁寧に集めていく。そうして集めた声を、脚本や演出にリアルタイムに反映させる。創作の安全性を保ちながら、皆様とともに未開の航路を旅するような創作過程にしたいと思っています。
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆★★
ChatGPTの登場を受けてか最近再度話題のシンギュラリティの可能性を扱った会話劇。なのだが、この手のテーマは、アジモフの”ロボット工学三原則”を超える創作物は出てこないと思っているのでどうしても厳しめに観てしまう。
シンギュラリティであったりAIの暴走であったりという類のものでも出てくるが、チャットAIであるイライザ(声:柴柴田美波、オペ:三浦葵)が、悠人(髙橋龍児)を結果的に害する方向に誘導する流れがどうしても腹に落ちない。ロボット工学三原則の完成度の高さよ。
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版『われはロボット』/ロボット工学三原則:第一条
あとは、助手(谷川大吾)が実はロボットというラストの流れはちょっと強引過ぎるような気がする。確かにずっとハケずに意味なくアクティングエリアで微動だにしないで座っている様子とかでヒントは撒いてあるが、イライザの精度からみても技術的に一足飛び過ぎてヒト型ロボットというのはちょっと無理があって納得度が低い。
俳優:☆☆☆☆★
髙橋龍児
精神的に壊れてイライザに依存していく様子がリアルで観ていて痛々しい程であった。シーンの大半が東澤有香との二人芝居とイライザ(声:柴柴田美波、オペ:三浦葵)との一人芝居で、ほぼ今作は彼の作品と言ってよいレベル。
まとめ
ネタが好みの方向過ぎて厳しい判断になるが、会話劇としては凄く作りこまれてて観応えあり。
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