出典:DULL-COLORED POP 公式Twitter https://twitter.com/dc_pop
おすすめ度:☆☆☆☆★
劇場:王子小劇場
公演期間:2022/03/02 (水) ~ 2022/03/13 (日)
脚本:デヴィッド・オーバーン
演出:谷賢一
出演:阿久津京介、伊藤麗、大内彩加、大塚由祈子、大原研二、柴田美波、竪山隼太、中田顕史郎、古屋隆太、水口早香、原田樹里、宮地洸成
Aチーム:大内彩加、宮地洸成、大塚由祈子、 大原研二
Bチーム:伊藤麗、阿久津京介、原田樹里、中田顕史郎
Cチーム:柴田美波、 竪山隼太 、水口早香、古屋隆太
あらすじ
シカゴ、冬。天才数学者・ロバートは103冊のノートを遺して世を去った。家に引きこもり人を寄せ付けようとしない次女キャサリンと、ロバートの研究を引き継ごうと家を訪れる青年ハル、キャサリンの身を案じる長女クレア。3人はやがて1冊の「証明」が書かれたノートを発見する。「数学の歴史が始まって以来、あらゆる数学者たちがずっと証明しようとしてきた」「おそらく不可能だろうと思われていた」証明。ロバート最後の偉業と思われるその「証明」について、キャサリンが驚愕の事実を打ち明ける。この証明は……。
出典:DULL-COLORED POP 公式ページ https://www.dcpop.org/
作品の感想
あくまでも個人の感想。ネタバレ含むため閲覧注意
脚本・演出:☆☆☆☆★
伝説の初演2009年サンモールスタジオ版、再演の2013年シアター風姿花伝版は観れていないが、2014年のサンモールスタジオ版を観ている。今回はAチームを拝見。初演にも出ている中田顕史郎が出ているBチームにするか迷ったが、ダルカラを観るならAチームだと思った。(いや、本当は全チーム観たいのだが、時間とお金が。。。)
Aチームは、2014年版に比べるとかなり軽い雰囲気になっている。各キャストが結構おどけるシーンがあったりして全体的にピリピリとした空気が続いていた2014年版とは違うアプローチになっている。
ただ、この作品はそういった演出があったとしても、とにかく観ていて苦しくなる。観ている側をずっと情緒不安定にさせる。眼前にロバートとキャサリンの子供のような純粋さと狂気を見せつけられて胸やけする。キャサリンの不安定さ、ロバートの老い、ハルの才能への憧憬、クレアの家族愛、それぞれの関係性での親子の愛情、姉妹の愛情、男女の愛情とすれ違い。いろんな要素がたった2時間に凝縮されて、しかも終わり方もギリギリハッピーエンドな感じで、ずっと感情が綱渡り状態。終演後どっと疲れる。決して心地よい観劇体験ではないが、これも演劇。
これが、会話劇の最高峰の一つの形。4人の俳優とテーブルと椅子2脚で上演できるシンプルさの中に無限の奥行きがある。
俳優:☆☆☆☆★
大内彩加
無茶苦茶な難役を好演していた。やはり『プルーフ/証明』のキャサリンは、ダルカラの女優に演って欲しい。清水那保、中村梨那、若林えり、百花亜希…実際に観たのは百花亜希版だけだけど『プルーフ/証明』といえばダルカラの看板の一つなので。
宮地洸成
ちょっとコミカルなハルがハマっていた。どこか弱弱しくもロバートに対する憧憬が滲み出てて良かった。すっかりダルカラの一員になっている。共通言語が既にできている感じ。
大塚由祈子
Aチームでは唯一の客演となるが、そこはアマヤドリで鍛えられているだけあって素晴らしいパフォーマンスだった。2014年版のクレアよりも、現実的というか実在感があった。天才の父と妹に挟まれた普通人の感じが非常によく伝わってきた。いろんなものを飲む演技がコミカルで印象的。
大原研二
流石の一言。ロバートでした。天才数学者でありよき父であるロバートの狂気と哀愁がビシビシ伝わってくる。特にデッキチェアで一人語る姿が印象的で、この人のためにデッキチェアおいてあるんじゃないかと思った。
まとめ
会話劇の最高峰の一つの形であることは間違いない。演劇に心をグラグラ揺らされるのが好きな人にはぴったりハマる。3チーム全部観れないのが非常に残念。
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