出典:らむらどぅプロデュース https://twitter.com/ramradowproduce
おすすめ度:☆☆☆☆★
公演期間:2024/11/28(木)~2024/12/02(月)
劇場:王子小劇場
脚本・演出:久保磨介
出演:有栖川姫子、安藤岳、安東信助、加藤睦望、魁ウェンズデー、佐藤直彰、さんなぎ、シミズアスナ、中三川雄介、夏アンナ、波多野伶奈、藤真廉、藤本康平、村上弦、米田ひかり
あらすじ
ふたりには仲良くしていて欲しいけど、
でもわたしには関係ないよね大きく割れた二つの、
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そのどちらでも無い小さな欠片たちの物語
“当事者じゃない”ことのおなはし
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆★★
王子小劇場を横に使って舞台を構築しての演出。物語は4組の双子の話を並列して描いているが、主軸は相澤大洋(中三川雄介)のストーリー。久保脚本にしては、かなり”ひねり”が入っていてややいつもと違うテイストに仕上がっている印象。
『はじめてのいつもの』や『赤を張って、 ブルー』では、登場人物の入り繰りがあっても、同じ喫茶店であったり自宅であったりと”場”が共通していたし、『紫にリボン結び』や『無地にしか見えない』では、ストーリー展開として”時”(時系列)が一致していたのだが、今作は観ていてそういった個別のストーリのつながりが、双子を破格の待遇で募集している求人広告でしか繋がっていなくて、珍しくストーリー展開に納得感が少なかった。
この”繋がり”の薄さが、相澤兄弟の解離性同一性障害であったり、岩田姉妹のLGBTであったり、足立姉妹のパワハラであったり、二見姉妹の格差であったりといった諸問題が巧く統合処理されておらず、微妙な違和感を作品に与えてしまっている。4つの話が双子の物語であるというだけの別々の話で、細かい場転を繰り返さずに、短編4篇のオムニバス構成にして別々に語り切ってしまった方が、逆に4組の”双子”がラストシーンでそれぞれに渋谷で邂逅することで”繋がっている”と感じるような気がしてしまう。何となくそのほうが”らしさ”が出たのではないかと、短篇も無茶苦茶巧い久保磨介だからこそ思えてしまった。
とはいえ、それは彼に対する期待値が異様に高いから出た感想であり、初見だったらそんなことも感じずに楽しんでいただろうという出来映えである。
俳優:☆☆☆☆☆
米田ひかり
今作では突出して良かった。天真爛漫な中に、出来の良すぎる妹・氷奈(シミズアスナ)へのコンプレックスや両角(加藤睦望)への憧憬、同僚の石井(藤本康平)の好意に全く気付かない鈍感さ、などを確り詰め込んで観ている側の期待通りのキャラクターに仕上がっている印象。加えて相変わらずの美声。石井に対して、迷った挙句に未開封のお菓子(たべっ子どうぶつ?)ではなく、今までポリポリと食べていた食べさしのポテトフライ・フライドチキン味(駄菓子)を差し出すシーンが出色であった。
藤真廉
岩田姉妹の妹兎和を好演。美鳥役の魁ウェンズデーと本当に姉妹かと思うような錯覚を与えてくれたのと、双畑硝子(有栖川姫子)とのやり取りが、如何も久保磨介らしい”甘さ”があって良かった。
波多野伶奈
初めて観たのは、2019年のStraw&Berry『サイケデリック』だから5年前。グッと大人っぽくなってお姉さんのような妹である足立紗良を好演。本当にこの世代の俳優の台頭が目覚ましい。
さんなぎ
本編の主人公である相澤大洋(中三川雄介)の彼女で、じゃない方の”彼”の存在を許容して付き合っている橋爪千重を非常に巧く演じていた。ある意味性格的に振り切っている部分があり、非常に良いキャスティングだと思った。最後にシーンはないが、渋谷で大洋を待っている姿や足立姉妹と話している姿が想像できるほどにハマっていた気がする。
安東信助
抑えめの演技で表面的には見えてこないその人の内に秘めた”想い”や”こだわり”を観客に確りと伝える巧さを感じる。もともと非常に主張の強いビジュアルなので、演技とのバランスが絶妙だった。
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