【演劇観てきた感想】アガリスクエンターテイメント『令和5年の廃刀令』

アイキャッチ画像 演劇

フライヤー画像

出典:アガリスクエンターテイメント http://www.agarisk.com/

おすすめ度:☆☆☆☆★
公演期間:2023/04/21(金)~2023/04/23(日)
劇場:すみだリバーサイドホールミニシアター
脚本・演出:冨坂友
出演:淺越岳人、伊藤圭太、榎並夕起、鹿島ゆきこ、古谷蓮、前田友里子、矢吹ジャンプ、江益凛、斉藤コータ

スポンサーリンク

あらすじ

━━━どうやら、日本初の廃刀令が出るかもしれないらしい。

二〇二三年、相次ぐ刀剣による殺傷事件を受けて、世間では一般市民の帯刀を規制する気運が高まる。
歴史上初めて出される「廃刀令」をめぐり、国内の世論は真っ二つに。
全国に先んじて条例を検討し始めた**区はタウンミーティングを実施。

そして、八人の男女が集められた。

出典:アガリスクエンターテイメント http://www.agarisk.com/
スポンサーリンク

作品の感想

注意

あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意

演出・脚本:☆☆☆☆★

代表作『ナイゲン』を含む国府台シリーズは高校が舞台のため、もはや劇団員で演じるには厳しい状況にあるため、新たな会議モノのキラーコンテンツとすべく創られたと思われる本作。長机3台と椅子9脚でどこにでも持ち運びできる、もはやホワイトボードや黒板もいらない、というのが凄い。墨田区版は、本当に区役所の中にあるすみだリバーサイドホールミニシアターでの開催だったが、アクティングエリアが小劇場でも相当狭い部類の劇場と同じぐらいの狭さ。(もともと映画鑑賞用のミニシアターなので)あの舞台の広さで公演が出来るのであれば、本当にどこにでも持っていける。

舞台は、1876年(明治9年)の廃刀令が発令されなかった架空の令和5年の日本。現代日本の政治経済の状況に加えてスマートデバイスの普及もしている世の中で、何故か帯刀の習慣だけが残っている不思議な世界。

廃刀令を推進するNPO法人理事上林(榎並夕起)、剣ではなく鎖鎌を標榜するYouTuber高橋(古谷蓮)、ものづくり系ベンチャーの経営者瀬戸(伊藤圭太)、フェミニズムを推進するジャーナリスト築山(鹿島ゆきこ)、元ヤンキー先生吉光(斉藤コータ)、刀拵職人でインスタグラマーの八鍬(江益凛)、歴史小説家広木(淺越岳人)、全日本刀剣協会の支部長隅谷(矢吹ジャンプ)、そして、議事進行の区役所職員宮入(前田友里子)の9人で繰り広げられる論戦。

アガリスクのコメディなので、対立と説得と寝返りが絶妙に表現されて所々で爆笑してしまうのだが、作中で語られている主義主張は、アメリカの銃規制問題にも通ずる相当ソリッドなテーマ。これは、国府台シリーズから脈々と流れる自主・自由・自立(自律)の”在り方”を扱うものであり、アガリスクらしいテーマ設定となっていて胸熱である。

『ナイゲン』と違って大人の議論なので”どさまわり”のような原理主義的な要素を担っている隅谷のキャラがマイルドで現実的であるため大きな対立になりにくいのと、ツッコみの部分がほぼ広木一択になってしまっている点、もう一回”うねり”があって欲しいと思わせるコンパクトさ(議論パートは60分強)があるものの、流石アガリスクと思わせる面白さ。色々なキャストや会場で再演を重ねれば重ねるほどレベルアップしていく予感がする。観た回は、反対派の勝利だったが、賛成派バージョンは、配信の方で観たいと思う。

俳優:☆☆☆☆★

淺越岳人

やはりアガリスクエンターテイメントの会議劇は、彼の仕掛ける切れ味鋭い舌鋒なくしては語れない。今作でも、一番まともなロジックを展開していると思われるのに、シニカル過ぎて浮いてしまうところが”らしい”。

斉藤コータ

こちらもお馴染みの議論に滅法弱い大騒ぎキャラを好演。言っていることが無茶苦茶で瀬戸に冷静に指摘されてしどろもどろになるシーンが笑える。

江益凛

インスタが炎上しているなか、スマホの電源が落ちて万策尽きた際のヤサグレ方が尋常ではない。袂から突然タバコを取り出し禁煙の会場にもかかわらず吸おうとするのだが、銘柄がセブンスターで、高橋が「セッター」ってポロっと言うシーンが笑えた。観ているこちらも「せめてメビウス」と思った。上林に食って掛かるシーンの指摘が芯を喰っていて痛快。

スポンサーリンク

まとめ

流石アガリスクの会議劇、豊島会場はGW中とは言え平日開催でいけないのが残念。墨田区会場では販売スぺースの設置が出来ないようで上演台本買うか迷う(会場で売ってたら賛成派勝利バージョンを確認するために即買ってたな)

フライヤー画像

出典:アガリスクエンターテイメント http://www.agarisk.com/

コメント

タイトルとURLをコピーしました