出典:ブス会* https://busukai.com/
おすすめ度:☆☆☆✬★
公演期間:2022/11/24(木)~2022/11/30(水)
劇場:遊空間がざびぃ
脚本・演出:ペヤンヌマキ
出演:高野ゆらこ、罍陽子、異儀田夏葉、天羽尚吾、古澤裕介、金子清文、向島ゆり子
あらすじ
こんにちは。杉並区に住んで20年になるペヤンヌマキです。
これまで半径10メートル以内で起きたみみっちいことを題材に演劇を作ってきましたが、なんと私の半径10メートル以内で壮絶な「道路問題」が起きていました!70年以上も前の道路計画がゾンビのように蘇った「都市計画道路」。道路ができると私が住んでいる場所は立ち退きになってしまいます。自分のことに精一杯で社会問題のことなんてこれっぽっちも考えてこなかった私ですが、自分の住まいが奪われる危機に直面して初めて、社会や政治が私たちの生活に直結していることに気づきました。
そして現在は、地域の運動に参加して「都市計画道路反対!」のハッシュタグで呟く毎日。本当は、猫とまったりお昼寝したり、お気に入りの川沿いを散歩してバードウォッチングを楽しんだりしていたいだけだった。だけど黙ってたらこのささやかな生活が奪われてしまう。もう黙っちゃいられない。気づいてしまったのだから。
これは現在私に起きていることであり、杉並区で起きていることであり、どこでも誰にでも起こりうること。
杉並区で様々な出会いがあり、様々な「声」を聞きました。そして道路問題のど真ん中にある西荻窪の小さな劇場と出会いました。今この場所で演劇をやるべきだと直感的に思いました。だけどこの現実を物語にしてしまうのはちょっと乱暴ではないか。生の「声」の集積を俳優の体を通して音楽にするのはどうだろう。まだどんなことになるのかさっぱりわからないけれどこのキャストと向島ゆり子さんとだったらとっても面白い試みになることは間違いない。新生ブス会*がお届けする伝承スタイルの音楽劇『The VOICE』、お楽しみに!ぜひ劇場に足を運んでこの土地の「声」を感じてください。
出典:ブス会* https://busukai.com/
作品の感想
あくまでも個人の感想、若干ネタバレを含むため閲覧注意
演出・脚本:☆☆☆★★
本来、スズナリなどもっとキャパの大きい劇場で公演していたブス会*が、まさに立ち退きの対象となってしまう遊空間がざびぃで公演を打っているところから意味があり、フライヤーに込められた意味も劇を観れば分かる。のだが、演劇に”それ”を求めていない自分がどうしてもいる。
エンタメの中での普遍的な何かに対する気づきではなく、社会問題が先にあり、それを共有することが目的となっている所謂”社会劇”であるため、エンターテイメント性がやはりそれなりに犠牲になっているのではないかとどうしても感じてしまうのが、ツラいところである。
ただ、終演後西荻の駅に向かって帰る道すがら、出っ張っているデニーズ&セブンイレブンと引っ込んでいるライフを目の当たりにして感じるものがあったので、この作品が目指している効果を自ら体感できたのは、演劇体験としてはアリだと思った。
俳優:☆☆☆☆★
金子清文
色気のある俳優さんで、こういう風に枯れていければ格好いい、といつも思わせてくれる
現実はそんなに甘くはないがw
罍陽子
初めて拝見してから10年。雰囲気からほとんど変らないのが凄い。
まさかのミュージカルパートでの美声が印象的、流石声優のお仕事もされているだけある。
まとめ
社会劇なんでやや取っ付き難いけど、帰り道に見える風景が違う意味を持ってくる
遊空間がざびぃで観てこその作品
出典:遊空間がざびぃ http://www.gazavie.com/
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